Yチェアの購入を考えている人は、「どんな座り心地なの?」「ペーパーコードってどのくらい持つの?」など、気になることがたくさんありますよね?
高額な商品なので、実際に座った人の評価や専門的な意見を参考にしてから、十分に検討したいところ。
そこでこの記事では、元家具販売員がYチェアの座り心地やペーパーコードの耐久性について解説します。
安く手に入れる方法を探している人のために、「Yチェアのリプロダクト」についても触れます。
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Yチェア(CH24)ってどんな椅子?
出典:SEMPRE.JP
Yチェアが発売されたのは1950年。北欧を代表する家具デザイナー「ハンス・J・ウェグナー」の作品の中でも大ヒットした商品の1つです。
中国の明の時代の椅子にインスピレーションを受けたYチェアは、背もたれの「Yの字」と、ペーパーコード編みの座面が最大の特徴。
「どこか日本っぽい椅子」と感じられる理由は、デザインに東洋の趣を感じられるからでしょうね。
Yチェアには、「ウィッシュボーンチェア」「CH24」などの別名があります。たまに、「CH24」で通じないインテリアコーディネーターがいますが、家具が好きなら覚えておきましょう。
Yチェアの人気の秘密
Yチェアは、機械で加工できるところはどんどん機械に任せ、生産性をあげることでコストダウンに成功しました。
ただし、すべて機械に頼るのではなく、座のペーパーコードだけ職人の手で仕上げられています。人の手が加わることで、椅子に温かみが感じられますね。
このデザイナーのクラフトマンシップが、Yチェアの人気の秘密なのです。
ペーパーコード編みとは?
ペーパーコードとは、樹脂を染み込ませた紙をよったヒモのことで、Yチェアでは職人が手作業で仕上げています。
Yチェアの他にも、J39やCH36などの座面にもペーパーコードが使われています。
ペーパーコードの耐久性と寿命の目安
ペーパーコードの耐久性はかなり高いですが、寿命は使われ方によって変動します。
毎日何時間もYチェア座っていればすぐにすり減りますし、クッションを敷いているのなら寿命が延びるでしょう。
私が家具屋に勤めていた時は、Yチェアを20年くらい使って、ボロボロになった状態でやっと修理に来たお客様がいました。上手く使えば、15~20年くらいは使えるのかもしれません。
ペーパーコードの修理は、Yチェアの購入店に相談してください。
Yチェアの座り心地について
Yチェアの生みの親、ハンス・J・ウェグナーがデザインした椅子には、座り心地のランクがあります。
ザ・チェアとの比較
1949年に発売された「ラウンドチェア(通称 ザ・チェア)」は、かなり座り心地が良いです。座のクッション性が良く、ほど良いホールド感があります。
対して人気のYチェアは、「長く座っているとお尻や背中が痛くなってくる」という声をよく聞きます。
実際に座ってみた
では、本当にお尻や背中が痛くなるのか?実際にインテリアショップで座ってみました。
Yチェアに座ると、少し沈み込むペーパーコードの座面と、アームの役割も兼ね備える背もたれが、ほどよく体を包んでくれます。
そのままクッションなしの状態で30分くらい座ってみましたが、座り心地が悪いとは感じませんでした。
近くにYチェアを取り扱っている大手のインテリアショップがあるなら、20~30分くらい座って確かめましょう。5分程度では何も分かりません。
廃番予定の日本サイズについて
出典:SEMPRE.JP
Yチェアには、「日本サイズ」「通常サイズ」の2種類があるのをご存じでしょうか?この2つのサイズの違いのポイントは、SH(シートハイ)です。
- W55 D51 H74 SH43 アーム高68cm(日本サイズ)
- W55 D51 H76 SH45 アーム高70cm(通常サイズ)
シートハイとは、床から座面までの高さのこと。日本人の体格から計算すると、最適なシートハイは40~42cm前後。
日本サイズは、日本人の体格に合わせて、Yチェアの脚を2cmだけ短くカットされています。
たった数cmの差ですが、実際に座ると違いがハッキリ分かるでしょう。小柄な女性であれば、日本サイズのYチェアをおすすめします。シートハイが高すぎると、足が浮いた状態になりますよ。
日本サイズのYチェアは、2018年以降に廃番となる予定です。プレミアがついてしまう可能性もあります。インテリアショップ「SEMPRE」で取り扱っているので、購入するならお早めに。
リプロダクト(ジェネリック)品はある?
2010年ごろまで、ネットや家具屋でYチェアのリプロダクト品が市場に多く出回っていました。価格も2万円前後と、かなりお求めやすい設定でした。
しかし、最近はすっかり見かけなくなりました。それにはこんな理由があります。
2011年、Yチェアを販売している家具メーカー「カールハンセン社」が、「立体商標登録」を取得しました。
Yチェアが立体商標登録をされたことにより、リプロダクトやジェネリック品のなどのコピー商品の販売ができなくなりました。
似たような椅子ならある
Yチェアのリプロダクト品はこの世から消えましたが、違う商品名で、似たような椅子が販売されています。
その名も「Y's チェアー」。名前もかなりYチェアを意識していますね。家具を良く知らない人なら買ってしまいそうです。
正規品との大きな違いは質や座り心地にもありますが、よく見るとデザインが異なります。背もたれの「Y」がちょっと変。
あまり気にならない人であれば、値段も安いので買ってみると良いかもしれません。
まとめ
Yチェアについてまとめます。
- Yチェアのモチーフは中国の椅子
- 特徴は背の「Yの字」とペーパーコード編みの座面
- ペーパーコードの寿命の目安は約15年
- 座り心地に疑問があるなら、30分くらい座って確かめること
- 日本人に適した専用サイズがある(2018年に廃止)
- 立体商標登録が認められたのでリプロダクトはない
Yチェアは日本の住宅にもよく合う椅子です。
座り心地はザ・チェアには劣りますが、食事の時間が短い日本の食文化からすると、あまり重要な問題ではないかもしれません。
Yチェアの正規品は10万円前後するので、安く手に入れたい人は「Y's チェアー」の購入も検討してみてください。
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