アントチェアを探している人は、「後続モデルのセブンチェアとどちらが良いか?」と悩むのではないでしょうか?
また、いざアントチェアを買おうと思っても、値段の高さから安く買う方法を考える人も多いはず。
そこでこの記事では、アントチェアとセブンチェアとの違いや、リプロダクト品が買えるおすすめ店をご紹介します。
3本脚のアントチェアについても触れるので、興味がある人はご参考に。
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アント(アリンコ)チェアってどんな椅子?
アントチェアのデザイナーは、デンマークの「アルネ・ヤコブセン」。1952年に発売されました。
くびれの入った背に特徴があり、全体的なフォルムからイメージしてアント(蟻)チェアとして呼ばれています。日本では親しみを込めて「アリンコチェア」と呼ぶ人もいます。
椅子の材は、ブナの成形合板とスチールパイプの脚。発売当初は3本脚でしたが、1971年のヤコブセンの死後、4本脚となりました。
アントチェアのコンセプト
アントチェアは、「世界で初めて、背と座が一体となった三次曲面のプライウッド(合板)の椅子をつくる」というコンセプトで作られました。
すでに、座と背は別ながらも三次曲面の椅子を開発した、アメリカの家具デザイナー「イームズ夫妻」を意識していたのでしょうか?
名作椅子の誕生秘話
アントチェアは、デンマークの首都、コペンハーゲンのノヴォ・ノルディック製薬会社の社員食堂用にデザインされた椅子です。
ヤコブセンは家具メーカー「フリッツ・ハンセン」に販売の交渉を行いますが、製品化するには採算が合わないという理由で、何度も断られたとか。
なんとか製品化の交渉が成立しても、製造過程でひび割れに悩まされたそうです。試行錯誤をした結果、現在のアリンコに似た形が生まれました。
アントチェアには3本脚もある
アントチェアには、脚が4本あるタイプと、3本しかないタイプがあります。
小さい円卓を囲むときに、「隣り合う椅子の脚がぶつからないように」と考えられ、発売当初は脚が3本しかありませんでした。
3本脚の方が、正面から見た時に美しさが感じられますね。現在は安全面から4本足のデザインに改良されています。
3本脚のアントチェアは、インテリアショップ「SEMPRE」などで購入ができます。カラーや座の仕上げによって値段が変動します。
3本脚の安定性について
発売当時、3本脚のスチールレッグの椅子は衝撃的でした。年配の方は「座ったら壊れるのでは?」と不安に思って、アントチェアに使わなかったとか。
たしかに3本脚のアントチェアは不安定な見た目ですが、人が座ると5本脚になるので、安定感はあります。
ただし、不安定な姿勢で座ると店頭の恐れがあるので、安定感を求めるなら4本脚のアントチェアをおすすめします。
アントチェアとセブンチェアの比較
アントチェアの誕生から3年後の1955年、さらに座り心地を追求して生まれたのが「セブンチェア」です。
セブンチェアとは何が違うのか?購入で迷っている人は参考にしてください。
デザインの違い
セブンチェアは、アントチェアよりも座の奥行きと幅を少し広げ、背もたれもゆったりしたデザインに仕上がっています。
くびれがあるアントチェアに比べて、セブンチェアはシンプル。
個性的なデザインが好きならアントチェア、シンプルに落ち着きたいならセブンチェアがおすすめです。
サイズと座り心地の違い
- アントチェア W51 D48 H78 SH44cm
- セブンチェア W50 D52 H78 SH44cm
サイズを比べると分かりますが、座面幅はセブンチェアの方がゆったりしています。
小柄な女性でしたらアントチェアでも問題ありませんが、男性の場合は座面が広いセブンチェアの方が適しています。
セブンチェアは背もたれが逆三角形になっているので、「体勢を斜めにして肘を置ける」などの利点もあります。また、アーム付きなどのバリュエーションもあります。
迷っている場合は、アントチェアとセブンチェアを1脚ずつなど、混ぜてダイニングで使用してください。どちらもデザイナーは同じなので、並べても相性は抜群ですよ。
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正規品の価格の相場
アントチェアは、デンマークのFritz Hansen(フリッツハンセン)社の商品です。日本では、インテリアショップ「センプレ」などの正規代理店で購入が可能。
正規品であれば、50,000~80,000円前後で販売されています。価格は、木の仕上げの種類や脚の本数によって変動します。
センプレがお近くにない地域の方は、ネットからでも購入ができますよ。
リプロダクト品が買えるおすすめ店
公式サイト:エア・リゾーム
アントチェアをネットで探していると、数千円から数万円と、かなり幅があるのを目にすると思います。
この違いは、「正規品であるか」「リプロダクト(ジェネリック)品であるか」です。
正規品が高くて手が出せないのであれば、リプロダクト品がおすすめ。インテリアショップ「エア・リゾーム」なら、アントチェアのリプロダクトが約1万円で手に入ります。
リプロダクトとは?
リプロダクトは、意匠権が切れたデザイナーズ家具を復刻させた商品です。正規メーカー以外が製造・販売をしているので、正規品よりも価格が安いメリットがあります。
「商品寿命が短い」「アフターフォローがない」などの欠点があるものの、座り心地や見た目は正規品を忠実に再現されています。
私もリプロダクトの椅子を使っていますが、2年以上も不具合がなく、正規品と大差ないので満足して使っています。
まとめ
アントチェアについてまとめます。
- アントチェアは背と座が一体型成形合板となった世界初の椅子
- 発売当初は3本脚、ヤコブセンの死後は4本脚で販売
- 3本脚はデザインが美しいが安定性に欠ける
- 女性ならアントチェア、男性にはセブンチェアがおすすめ
- 価格は正規品が5~8万円、リプロダクトが1万円前後
アントチェアとセブンチェアで迷っている場合は、使用する人が男性か女性か考えましょう。
座面幅はセブンチェアの方が広く、背もたれもゆったりしているので男性向けです。アントチェアは座面幅が小さく、女性が座るのに適しています。
アントチェアの正規品が高くて手が出せない人は、リプロダクト品の購入も検討してみてください。
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