「新築一戸建て」が欲しいと考えたとき、選択肢は大きく2つ。
土地・建物をセットで買う建売住宅か、それとも、自由設計の注文住宅にするか。
一生に一度かもしれない大きな買い物であるだけに、慎重に悩む人も多いはず。
そこでこの記事では、それぞれどんなメリットがあるかを「お金」「土地」「間取り」の3つのポイントで比較してみました。
新築一戸建てを検討している方のご参考になれば幸いです。
建売住宅と注文住宅の違い
新築一戸建ては、「建売住宅」と「注文住宅」の2つにわけられます。
建売住宅は、土地と建物のセットで販売されています。予算が明確で、実物を確認しながら決められるのが建売のメリット。間取りを考えたり、設備を選ぶ手間と時間が省けます。
注文住宅は、家をゼロからオーダーメイドでつくります。建築会社に予算を伝えることで、その予算内で建てられるプランを提案してもらいます。趣味やこだわりを反映させた家づくりができるのがメリットです。
「建売」「注文」をお金で比較
建売住宅の特徴は次の通り。
- 価格が明確で予算が立てやすい
- 物件価格のほかに不動産会社への仲介手数料がかかる
- 足りない設備をオプションで追加すると割高になる
注文住宅の特徴は次の通り。
- お金のかけどころを調整できる
- 工夫次第で建売よりもローコストで建てられる
- 要望を詰め込み過ぎると予算オーバーになりやすい
それぞれ、詳しく解説していきます。
建売は価格が明確で予算が立てやすい
建売住宅は分譲会社が複数棟をまとめて建てるケースが一般的。そのため、1棟あたりの土地仕入れコストがおさえられ、さらに設備や資材もまとめて発注することで、手ごろな価格設定が可能になります。
また、土地と建物のセットで販売するため、物件価格が明確であり、予算内で買えるかどうかの判断がしやすいメリットがあります。
注意点は、物件価格のほかに不動産会社への仲介手数料がかかる場合が多いこと。さらに、足りない設備をオプションで追加すると結果的に費用が割高になることもあります。
注文住宅はお金のかけどころを調整できる
注文住宅は建築会社に予算を伝えることで、その予算内で建てられるプランを提案してもらえます。
たとえば、来客が目にすることの多い玄関やリビングには内装をこだわり、寝室は標準的な仕様にするなど、お金のかけ方にメリハリをつけることが可能。
注文住宅は高いイメージがありますが、構造や間取りなど、あとから変更するのが難しいところはお金をかけ、10年程度で交換する設備類は標準的なグレードにするなどの工夫次第で、最終的に建売住宅と同等か、それ以上にローコストで建てられる可能性もあります。
もちろん、要望を詰め込み過ぎると予算オーバーになりやすいので注意が必要です。また、建物の完成前に工事代金を支払うため、自己資産に余裕が必要となります。
「注文」「建売」を土地で比較
建売住宅の特徴は次の通り。
- 好条件の土地を安く仕入れている
- 大型の建売分譲地にある家は街並みがキレイ
- 地盤の強弱などの土地の状態を確認しにくい
注文住宅の特徴は次の通り。
- 希望の間取りにあった土地を探せる
- 土地探しを単独で行うと予算オーバーになりやすい
- 建築法規や地盤の判断は素人では難しい
建売住宅は価格と利便性を両立
建売住宅を販売する会社は、独自のネットワークで市場に出回る前の好条件の土地を仕入れている場合が多いのが特徴。
仕入れた土地は複数区画に分けて家を建てることもあり、駅から比較的近く地価が高めの土地でも1棟あたりの敷地面積をおさえて手ごろな価格で手に入ることもあります。
大型の建売分譲地にある家は、外観が統一されていたり、街路が整備されているため街並みがキレイなことも。
注意点は、隣の家との間隔が狭くなったり、窓の位置が重なってしまうなど。完成済みの建売住宅だと、地盤の強弱などの土地の状態を確認しにくい点にも注意が必要です。
注文住宅は暮らしの要望に応じて選べる
叶えたい暮らしや間取りを実現できる土地・環境を、納得いくまで吟味して選べるのが注文住宅。
土地探しは不動産会社に頼むものだと思われがちですが、建築会社に相談して一緒に探すことも可能。土地の状態や法令上の制限を建築のプロの目で見てもらえれば、希望のプランが建てられる土地を効率よく探せます。土地勘がない場所で探している人も安心できます。
注意点は、土地探しを単独で行うと、予算オーバーになりやすく、建築費を圧迫する恐れがあること。また、希望のプランで建てられる土地であるかの判断や、建築法規や地盤の判断は素人では難しいです。
「注文」「建売」を間取りプランで比較
建売住宅の特徴は次の通り。
- 実物を見て確認してから決められる
- 間取りプランを考える手間が省ける
- 間取りに暮らし方をあわせる必要がある
注文住宅の特徴は次の通り。
- 家族の趣味やこだわりを反映できる
- 基礎などの工事の確認ができる
- こだわりが多いほど時間がかかる
それぞれ、詳しく解説していきます。
建売住宅は実物で確認できる
土地と建物を1つのパッケージとして販売するのが建売住宅。間取りプランを考える時間と手間が大幅に省け、完成済みの住宅を見ながらそこでの暮らしがイメージできます。
たとえば、平面図を見ただけではイメージしにくい採光や風通し、天井の高さや収納量、動線など、実物で体感したうえで決められます。
着工前であれば壁紙やフローリング材の変更が可能な場合もあります。
注意点は、あらかじめ決められた間取りに自分たちのライフスタイルをあわせなければならないこと。引っ越してから少しずつ住みづらさを感じる部分があるかもしれません。
外観やデザインは周囲の家と似たような印象になりがちです。
注文住宅はこだわりを反映できる
デザインや使いやすい部屋のレイアウトなど、施主の希望をオーダーメイドで叶えられるのが注文住宅。ライフスタイルや家族の趣味に応じて、素材や設備にこだわって自由に選べます。
プランを検討するだけではなく、完成後には確認できない住宅の基礎や壁の内側などの工事がしっかり行われているかの確認も可能。
注意点は、こだわりが多いほどプランの打ち合わせに時間や労力がかかること。家をゼロからつくるので、完成イメージを実際に見られないデメリットもあります。
建売住宅と注文住宅、どっちがいい?
ここまで、建売住宅と注文住宅とを「お金」「土地」「間取り」の3つのポイントで比較してみました。では、新築戸建てが欲しいならどちらを選ぶべきかのでしょうか。
建売住宅がおすすめな人
- 間取りプランを考える時間がない(すぐに引っ越したい)
- 何事も迷って決められない性格
- 間取りや内装にそれほど「こだわり」はない
- 実物(完成品)を見て確認してから決めたい
注文住宅は間取りプランを考えたり、素材や設備を1つひとつ選ぶ必要があるため、かなりの時間と労力を要します。時間がない人や優柔不断な人にはかなりの負担になるでしょう。
建売住宅は実物を見ながら、そこでの暮らしをイメージして決められます。住宅を何件か見て、その中からライフスタイルに合いそうな間取りを選べば、負担が少なく、失敗も少ないでしょう。
注文住宅がおすすめな人
- 住宅購入までに時間と余裕がある
- 住宅には妥協したくない
- お金のかけどころは自分で調整したい
- 住宅ができあがる様子を見たい
建売住宅は外観や間取り、設備の変更ができません。すでに決まっているものの中から、自分たちの好みやライフスタイルにあったものを探さなくてはなりません。そのため、少しの妥協も必要です。
注文住宅なら、時間をかけて自分たちの理想に近い家づくりができます。注文住宅は高いイメージがありますが、お金のかけ方にメリハリをつけることで、予算内での調整は可能。
時間に余裕があり、こだわった家づくりがしたいなら注文住宅がおすすめです。