新しい住宅に引っ越してから、「目がチカチカする」「頭が痛い」「吐き気がする」といった体調不良を引き起こした経験はありませんか?
ネットで調べてみると、「風水に原因がある」とか宗教的な話が飛び交っているようです。
たしかに、風水は約4,000年前もの歴史がある環境学ですが、理論的ではありません。
引っ越してから体調が悪くなったのには、もっと理論的な原因があります。
実際に、私の友人は引っ越してから体調不良に悩まされましたが、風水が原因ではありませんでした。この記事で詳しく解説します。
引っ越してから体調が悪くなるホントの原因
実は、住宅内で「体調が悪い」と報告をされるようになったのは、今に始まったことではありません。
日本の住環境が大きく変わり始めた1990年以降、この症状の報告が急増したのです。
原因は化学物質の摂取
住宅内での体調不良の原因として、化学物質を多量に摂取したことが考えられます。
建物内の化学物質がある一定以上の濃度になると、さまざまな健康被害が現れます。特に、住宅に使われている木材などは化学物質が多く含まれ、空気中に放出されています。
「引っ越してから体調が悪い」と感じたら、新しい住居の空気が化学物質で汚染されている可能性があるのです。
化学物質は目に見えないので、知らないうちに体内に蓄積している危険があります。
化学物質による体調不良の例
住宅内の化学物質による体調不良のことを、「シックハウス症候群」と呼びます。
シックハウス症候群には、さまざまな症状があります。「すべてに当てはまれば」というわけではなく、ひとつでも心当たりがあれば、シックハウス症候群の可能性が高いと言えます。
- 頭痛、ぼーっとする、めまい
- 目がチカチカする、かゆい、涙目、充血
- 耳鳴り
- 鼻水、鼻詰まり、くしゃみ
- 吐き気、せき、くしゃみ、喘息、のどの痛み、息切れ
- 皮膚がかゆい、かぶれる、じんましん
- 心臓がどきどきする、不整脈
- 食欲がない、腹痛、下痢、便秘
- 腰痛
- 手足のしびれ、震え
- 膝の痛み
症状はひとつではない
シックハウス症候群の症状は多種多様。特定の体調不良をシックハウス症候群と呼ぶものではありません。
私の友人の場合は、食欲はありましたが、夜中にひどい咳に悩まされていました。日中は鼻水とくしゃみにも悩まされていました。
体調不良は個人差が大きく、幅も広いです。はっきりとした症状を示さない場合もあります。
「引っ越してから何となく体調が悪い」と思っていても、シックハウス症候群だと本人が気付かないことはよくあります。
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体調不良を悪化させる引っ越し先の環境例
では、体調を悪くする化学物質は、どんな引っ越し先の環境にあるのでしょうか?その具体的な例を3つ挙げます。
高気密住宅に住んでいる
近年、防寒や防風、防音などの観点から、気密性や断熱性が高い住宅が建てられるようになりました。
隙間風が少なく外気を遮断する住宅は、夏は涼しく、冬は暖かくなります。
その一方で、高気密住宅は空気の循環が悪くなり、化学物質が室内にたまる原因を作ってしまいます。
築浅の物件に引っ越してから体調が悪いと感じたら、気密性が高い住宅が原因かもしれません。積極的に換気を行い、新鮮な空気を取り入れるように心がけてください。
新建材に囲まれた住宅
住宅の需要が増えるとともに、より速く、より低コストに建てられることが求められてきました。そこで登場したのが「新建材」。
新建材とは、木材のチップを接着剤で固めたものに、表面に木目のシートを貼ったものを指します。
工場で寸法通り加工してから現場に運ぶため、熟練の大工さん要らず。技術が優れていなくても扱えます。現場で調整することも少ないため、低コスト、短期間で施工ができます。
ところが、新建材の木材には体調不良の原因となる化学物質が含まれています。
安い家具や低コストの家には、新建材が積極的に使用されています。引っ越しで安物の家具をたくさん買ってしまったら、体調が悪くなる原因を生みます。
安全な家具には「F☆☆☆☆」のマークが付いているので、引っ越しで家具を買うときのご参考にしてください。無垢材を多く使用している家具も安全です。
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体質の弱体化
引っ越してから体調が悪い原因は、現代人の体質の変化も考えられます。外部の環境ではなく、人の内部にも原因があるのです。
一昔前に比べ、アレルギー体質の人や化学物質に過敏な体質の人が増えたというデータもあります。
これは、ストレスや運動不足などによる「体質の弱体化」が、化学物質に対抗できなくなったと考えられています。
引っ越し後の体調不良に悩まされている人は、正しい食生活と適度な運動を心がけ、たくましい体づくりを目指しましょう。
まとめ
引っ越してから体調が悪いと感じる原因は、風水ではありません。化学物質の多量摂取による「シックハウス症候群」を疑うのが現実的です。
「換気を行ってきれいな空気を取り込む」「正しい食生活や適度な運動を心がける」など、根本的な対策を行いましょう。
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